
ロゴセラピー (16)
それでも人生にイエスと言う
Trotzdem Ja zum Leben sagen
あと1ヶ月で、あの東日本大震災より1年の時が過ぎようとしていますね。
遠く海外に住む私達にとっても、震災が与えた衝撃は大きく、こころに深い爪あとを残しました。
フランクルの言葉を借りれば、「こころが爆撃を受けた」状態です。
穏やかな日常の中で、突然、「生と死」というテーマを目の前に突きつけられた瞬間。
今後の生活観、自分自身の価値観を、今一度見つめ直された方も多いのではないでしょうか。
私達の人生には、時に一瞬で、今までの生活が、180度変わってしまうような出来事が訪れます。
災害や病気、最愛の人との別れなど、自分の力の及ばない、まさに、どこにも出口が見当たらないという状況です。
人は、これを"運命"と呼ぶのかもしれません。
「運命だったんだから、もうどうしようもないよ。」人は言うかもしれません。
しかし、本当に私達は、100%、その状況に従う他ないのでしょうか。
そう、私達には、こころの自由があります。状況を変えることはできなくとも、状況を自分がどう受け止め、
どのような行動を起こしていくのか。それは、運命も、何事もが決定することができない、あなただけの自由です。
悲しみにくれた、先の見えない状況の中で、思いやりを忘れず、労わり、励ましあう日本人の心温まる行動に、
目頭を熱くし、勇気をもらったのは、私達、日本人 だけではなく、世界中のみなさんでした。日本人で良かったなあと、
アイデンティティと誇りを感じた瞬間ではなかったでしょうか。彼らが運んでくれた、ス プーン一杯の精一杯のユーモアは
みなに、少しの笑顔とこころのぬくもりを届けてくれました。少しの笑顔が、また次の笑顔を作って、笑顔のつながりが生まれます。
笑顔は、希望と活力を呼び戻してくれるまほうです。
復興には、まだまだ多くの時間を要し、解決されるべき課題が残されています。
こころに受けた衝撃を、涙を流すこと、友人と語らうことで、少しづつ整理された方もおられれば、悲しみを心の奥底に
眠らせたまま、現在の日常を生活してい らっしゃる方もおられることでしょう。震災のチャリティーイベントや特集記事が
多くなるこの3月、またあの映像を見るのが、まだつらいなあと思われる方、 無理をしないで、TVを消してくださいね。
今なら向き合えるかもと思える時期がくるまで、ゆっくり待ちましょう。自分のペースで、良いのですから。
そして、忘れないでください。今後もうだめだ・・と思う状況に直面した時、胸に、スプーン一杯のユーモアをかき集めて、
誰かに笑顔をおすそ分けをすることを。きっと、あなたにも笑顔のおすそ分けが戻ってきます。
笑顔をもらったら、また思えるはずです。
それでも人生にイエスと言おうかなって。
<ビブリオセラピーにおすすめ!>
オーストリアの精神科医、心理学者。ロゴセラピーという心理療法を確立する。
人が自らの「生の意味」を見出すことを援助することで心の病を癒す心理療法、
ロゴセラピーは、意味中心療法とも呼ばれる。
ロゴセラピーって何?
こんにちは。Sinn Counselingの徳永です。
突然ですが、お尋ねします。
みなさんは、ふと、こんなことを思われた瞬間はおありですか?
- この勉強やっていて、将来、何かの役に立つのかなあ。
- このまま、彼/彼女とつきあっていて意味があるのかなあ?
- どうして毎日こんなに朝早く起きて、仕事に行かなきゃならないんだろう?
- この仕事、やる意味ある??
- こんな状況で、この先、何をやっても、もう、どうしようもないんじゃないだろうか・・・。 などなど。
学生の頃、恋愛中だった頃、社会人になってからの自分、よ~く思い出してみてください。
これらの疑問に、共通項があることに、みなさんは、もうお気づきですよね。
そう、私達は、自分のやっている事に、"意味"が見出せない時、"何のために?"という疑問を抱き、その思いはこころの空を
曇らせていきます。足元が暗くなると、立ち止まったり、慎重に歩いたりしますよね。
逆に、明確な目標がある時は、「やらなきゃ!」って意志の力で、「やめようよ~」という内なる誘惑にも負けず、どんどん
突き進んで行った経験を皆さんも、お持ちなのではないでしょうか。
"意味"や"目標"というのは、原動力、即ち、モチベーションの源であり、我々の進むべき道を照らしてくれる明かりでもあるのです。
そこで、ロゴセラピーでは、この"意味"が、私達の人生に大きく影響していると考え、着目していきます。
- 人は、常に意味あることを実現したいなあと憧れているのだと。
- 世の中、ムダな経験というものはなく、どんな状況・事柄においても、必ずあなたにとっての意味があるのだと。
- 最終的にどう行動するかは、その人個人が選択でき、自由な決定権は、いつもあなたの手の中にあるのだと。
私達が時たま遭遇する、「いやいや、これ、絶対、意味ないかも・・」と思う瞬間。
思い出してみてください。
すべての事柄は、360度の角度から眺め、考察することができます。もしかしたら、私達は、左右から頑張って、350度分は、
見渡してみたけど、自分とは真反対にある側の、残りの10度分だけ、まだ、見きれていないのかもしれません。
少し後ろに回って見つめてみましょうか。
誰かに頼んで見てもらうのも名案ですが、自分の目で見ると、あなただけの「あっ」という感動を見つけるチャンスが拡がりますよね。
旅行に行った話を聞くのと、自分がその場所を訪れて味わう印象や感動がまた、違うように。
ロゴセラピストは、みなさんが、新たな明かりを灯す間、そっと別の明かりで、手元を照らしてお手伝いをします。少し、意味中心療法と呼ばれるロゴセラピーに 触れて頂く事ができたでしょうか。これからも、少しづつ、身近な話題と共に、ロゴセラピーの世界をご紹介していきたいと思います。
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